駐車場の解体も視野に入れた具体的な検討
理事会での議論のポイントは、解体・平面化を「鋼製平面」「埋め戻し」を2つの工法の内どちらでおこなうかを決定することです。しかし、実際のところ、理事の皆さまが限られた知識の中で、適切な工法を選択することは簡単なことではありません。
いずれの工法であっても、機械式立体駐車場の解体・平面化には専門知識を必要としますので、当たりをつけた施工業者の担当者を理事会に呼んで説明を受ける方法をおすすめします。むろん理事会に来ないような業者の場合には、そもそも選考から除外する方が良いでしょう。
施工業者の担当者を理事会に呼べば、工事の概算金額がわかるので、次の過程では、はたして、駐車場を解体することが管理組合にとって経済的なメリットがあるか資金シミュレーションをおこないます。
そこで解体を推し進めるという結論に達したら次のステップとして、施工業者の選定作業に入ります。
後々総会で、理事が選んだ施工業者に対して、不満が生じないように、チェックリストなどを参考に、組合員の誰もが納得する業者選定をおこないましょう。
平面化工法の選択
「砕石による埋め戻し」は比較安価な工法ですが、デメリットとして、埋戻しに使用した大量の砕石の重みや、緩みによって、舗装面の陥没や、建物・周辺地盤に悪影響を与える恐れがあります。さらに、工事完了後も長い目でみれば、舗装面の陥没部分の補修といった予期できない出費が必要になる事態も想定しなくてはなりません。
費用面だけで比較すると
ご参考までに費用面だけで比較すれば、当社事例では、「鋼製平面化工法(=スマートデッキ)」設置と「埋戻し」との比較で、地下ピット1段式では「埋戻し」が多少安価になり、反対にピット2段以上では、鋼製平面化工法の方が安くなるケースが多いようです。
ようするに鋼製平面化工法では、地下ピットが深くなってもあまり費用はかわらないということです。
もちろん費用面だけではなく、駐車場が「屋外か建物内か?」「マンション周辺の地盤は良いか?」「将来駐車場を再建する可能性」などをポイントに慎重に検討を進めていきましょう。
当社は、「鋼製平面化工法」と「埋戻し」の両工法とも施工可能ですが、工事後のリスクが少なく、また、いつでも再解体が安価、短工期で可能な「鋼製平面化」を推奨しています。
「埋戻し」をご希望の場合は、その地域の地盤、ボーリングデータなどから地耐力を算出するなど、慎重に検討させていただいた上でお引受けさせていただきます。
「埋戻し工法」と「鋼製平面化」の長所、短所
埋戻し工法 | 鋼製平面化工法 | |
工事費用 | 比較安価(地域、業者によって大きな差) | 比較高価(1車台あたり100~120万円) |
工事期間 | やや長い(養生期間必要) | 短い(解体から設置まで5日~) |
施工場所 | 限定(屋内、軟弱地盤は原則不可) | 選ばない(屋内、軟弱地盤も可) |
信頼性 | 業者の腕次第 | 工場製造加工品でばらつきなし |
復元性 | 困難 | 問題なし(解体は安価、短期間でできる) |
保全コスト | ゼロ(陥没などのリスクあり) | ゼロ |
2つの工法の最大の違い
2つの工法の最大の違いは、地盤に対する重量です。埋戻しには大量の砕石が必要で車1台の駐車スペースに地下1段のピット約50トン、地下2段のピットでは約100トンが必要です。その上にアスファルトもしくはコンクリートがのり、さらに車重がかかることになりますから、建物本体に影響は出ないか?周辺の地中水位に問題はないか?などなど慎重に検討が必要です。
一般的に地盤の弱い地域やマンション構造物の地下や中に配置されている場合には埋戻しは出来ません。一方、鋼製平面工法の場合には、車1台の駐車スペースの総重量は地下1段で約1トン、地下2段でもほぼ同重量です。埋め戻しの原状回復は極めて困難かつ高価ですが、鋼製平面化工法では簡単に原状回復が可能です。鋼製平面工法の方が短期間に工事が終了します。費用面ではピットが浅い(1段)と埋戻しに軍配が上がることが多いようです。特に関西地方では安価な傾向があります。
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