老朽化駐車場設備の増加により解体市場が拡大
駐車場業界の動向
機械式立体駐車場業界の厳しい現状とは
機械式立体駐車場業界は、新規設置や更新工事、諸元変更工事を行う機械式立体駐車場メーカーと設置後の保守保全を行うメンテナンス会社、それに部品供給会社で構成されています。
機械式立体駐車場の市場は1997年の年間設置台数10万台強から近年では3万台まで落ち込んでいます。今後は更新対象となる老朽化機械が急増することもあり、引き続き3万台程度で市場が推移する予想です。
機械式立体駐車場の供給メーカーは大手3社が寡占
ピーク時には、多くの企業の参入があったこの業界ですが、大手3社で、ほぼ8割のシェアを握っています。また、メンテナンス会社は、大手メーカー系が、過半の管理件数を持っています。
今後は、補修部品供給の問題を残す可能性もあり
マンション管理組合にとっての問題は、現在存在しないメーカーの機械は今後、補修部品の供給やリプレイス(入替更新)に課題を残す可能性があるということです。
2000年当時の機械式立体駐車場の設置台数のピークの頃には、現在残る、3社のほかにも多くの大手メーカーありましたが、数社が撤退し、あとを現在の大手メーカーやメンテナンス会社が引き継いだ経緯があります。
今後10年で老朽化した設備が急増、解体が進む
2020年現在において、設置後25年を経過する機械式立体駐車場(二段式・多段式)は約68万台あるのに対し、新しい装置に更新されたのは、わずか1万2千台です。
更に2030年には、設置後25年越えが倍増150万台に近づくことから今後、機械式立体駐車場の解体市場は急増していくことが確実視されています。
駐車場設備の種類
一口にマンションの駐車場といっても、その構造は多様です。構造形式別に大別すると、まず〈平面式駐車場〉と〈立体式駐車場〉に区分することができます。さらに、立体式駐車場は、〈機械式〉と〈自走式〉に区別することができます。
維持管理費用の安価な平面式と、機械式とでは、「空き問題」の深刻度は異なります。本サイトでは主に、「機械式」駐車場設備の解体について取り上げていきます。
機械式立体駐車場は、駐車場の点検業者が保守契約に基づいてメンテナンスをおこなっていても、構築物である以上、いずれは寿命が尽き取り替えが必要となります。耐用年数をすぎれば、駐車場装置の全面取り替えを行なわなければなりませんが、この場合には、1台(パレット)当たり100~150万円程度の出費が必要です。したがって、事前に長期修繕計画に更新費用を計上して、それなりの資金を確保しておく必要がありますが、実際のところ、無計画のまま、更新の時期が到来して、更新費用を捻出できないマンション管理組合が数多くあります。
機械式立体駐車場設備の部位と解体工事の関係
マンションで一般的に採用されている機械式立体駐車場は、敷地や建物内に鉄筋コンクリート製の地下ピットを築造し、その中に、装置を収め、昇降モーターによって、パレットを上下して車両を格納します。
そして、機械式立体駐車場は「装置本体」と「地下ピット」に構造が分けられます。機械式立体駐車場の「解体」という場合には、「装置本体」を搬出して、地下ピットの空間を塞ぐことを言います。通常、地下ピットの鉄筋コンクリートの構造体そのものを壊すことはありません。
機械式立体駐車場設備の部位
駐車装置本体 | 地下ピット部 | 付属設備 |
駐車装置本体は、骨組となる鉄骨部、車両を乗せるパレットに、制御盤や昇降モーター、センサー、操作盤といった、さまざまな部材や部品で構成されています。解体は、設置工事順の逆に部材を取り外していきますが、溶接箇所や長いものは、バーナーで分断します。屋内や地下などの狭所での解体は経験と技術が必要です。 | 地下ピットは、鉄筋コンクリート造で、一般的にはコンクリートの打ち放し仕上げです。地下ピット部にはアンカーなど建物でいう基礎部が配置されていますが、これらも撤去します。また、ピット内に流入する雨水などを排出するための排水ポンプユニットが設けられている場合には埋戻しは撤去、鋼製平面化の場合は残置。 | 駐車車両の転回用のターンテーブルも、モーターの交換や定期的な天板の塗装など、維持してくためにはコスト負担が必要です。利用実態に合わせて必要がなければ、駐車場を囲むフェンスといった附属施設と同時に解体・撤去して平面化します。 |
一部の駐車場を解体
当社の事例でも、敷地内に複数の機械式立体駐車場がある場合は、一部を解体するケースが大半です。
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