
「鋼製平面化工法」を採用する場合の工事業者選び
機械式駐車場を鋼製平面化工法で解体・平面化する際には、工事業者の選定が工事全体の品質と満足度を左右します。工事の内容が専門的であるうえ、住民対応やコスト面の影響も大きいため、管理会社任せにせず管理組合自身が主体的に関与することが重要です。本記事では、鋼製平面化工法を採用する際の工事業者選びのポイント、発注フロー、選定時のチェックリストについて解説します。
発注フローの基本パターン
鋼製平面化工法を導入する際の発注には、様々はパターンがありますので以下は一例です。管理会社に相談するケースが多い一方で、実際に工事を行うのは別の工事業者である点に注意が必要です。
発注フローの例
- 管理組合(理事会)
↓ - マンション管理会社(窓口)
↓ - 点検(メンテナンス)会社
⇐鋼製部材メーカー(部材)
↓ - 点検(メンテナンス)会社
↑鋼製部材メーカー(部材)
↓ - 工事業者(現地施工)
上図のように、管理会社が窓口になった場合でも、実際に現場で工事を行うのは外部の工事業者です。また、管理会社を経由すると中間マージンが発生し、直接発注と比べてコストが高くなる傾向があります。そのため、管理組合としては、管理会社経由の見積だけで判断するのではなく、工事業者から直接見積を取得し、内容を比較することをおすすめします。
工事業者選びのポイント
1.使用部材とメーカーの確認
鋼製平面化工法では、使用する鋼材が構造安全性や耐久性に直結する重要な要素です。工事を依頼する前に、次のようなポイントを確認しましょう。
- 使用している鋼製部材のメーカー名
- 製品仕様書や構造計算書の有無
なお、鋼製部材の供給元は数社に限られており、どこに発注しても結局は同じメーカー製の部材が使われるケースもあります。だからこそ、発注業者選定では「工事業者」「工事金額」「施工品質」がより重要になります。
2.管理組合へのサポート体制も重要
工事業者には、技術力だけでなく、管理組合や住民に対する説明・サポートがしっかりしていることが求められます。以下のような体制が整っている会社であれば、住民の不安やトラブルを最小限に抑えられます。
- 理事会・総会での説明対応
- 住民説明会や近隣住民への案内
- 工事中の動線確保・車両移動計画の提示
3.現場の仕上がりや施工実績を確認
カタログや図面だけでは分からない、実際の仕上がりが重要です。可能であれば、近隣での施工事例を見学したり、写真資料を見せてもらうことで、完成後のイメージが具体的になります。
鋼製平面化工法の業者選択チェックリスト
業者を比較検討する際には、以下のチェックリストを使って、客観的に評価しましょう。
評価 | 大項目 | 小項目 | 確認すべき資料 |
---|---|---|---|
□ | 施工実績 | 全国での施工実績 | 施工実績表(リピート実績含む) |
□ | 当該地区での施工実績 | 施工事例 | |
□ | 当該工法での施工実績 | 施工事例 | |
□ | 当該規模での施工実績 | 施工事例 | |
□ | 会社評価 | 業容・事業内容 | 会社案内・ホームページ内容 |
□ | 信用度 | 建設業許可、国家資格保有者 | |
□ | 技術力 | 特許、実用新案の有無 | |
□ | 提案内容 | 平面化案の妥当性 | 工法提案書 |
□ | 平置き以外の対応力 | EV充電器、駐輪・バイク置き場などの提案 | |
□ | 費用対効果 | 試算表の提示 | |
□ | 将来の解体・用途変更への柔軟性 | 可否の確認 | |
□ | 総合 サポート | 総会・理事会説明、住民対応、近隣調整など | 提案内容 |
□ | 見積 | 見積額・精度 | 見積書、提出スピード、工程表の有無 |
□ | 解体実績 | 解体工事の経験 | 狭所・屋内・大規模事例など |
□ | 製品 | 基本構造、荷重・耐震性能 | 構造計算書、製品仕様書 |
□ | 使用素材の品質 | 仕様書、製品証明書 | |
□ | 工法 | 工法の適法性 | 施工計画書 |
□ | 環境配慮 | 騒音・重機使用の配慮 | 工事計画書 |
□ | 工期 | 発注から着工まで | 工程表(全体) |
□ | 着工から引渡しまで | 工程表(詳細) | |
□ | アフター | 保証内容と期間 | 保証書 |
□ | 長期的な保全対応 | 修繕計画への反映案 |
今回のポイント
鋼製平面化工法による機械式駐車場の平面化は、専門性や施工精度が求められるため、工事業者選びが成功の鍵を握ります。管理会社任せにせず、管理組合自身が主体的に情報を集め、直接工事業者から提案を受けることが重要です。使用部材や構造計算の有無、現場対応力、住民サポート体制なども確認ポイントです。信頼できる工事業者の選定が、コスト面・品質面・住民満足度すべてを左右することを念頭に、慎重かつ計画的に進めましょう。