機械式駐車場解体平面化

機械式駐車場の解体平面化「埋め戻し工法」の特徴

機械式駐車場を解体した後の地下ピットを埋めて平面化する「埋め戻し工法」は、初期費用を抑えつつ、荷重制限のない安定した駐車スペースを確保できる方法として注目されています。一方で、地盤への影響や再利用の困難さ、工期の長さなど慎重に検討すべき課題も存在します。本記事では、「埋め戻し工法」のメリット・デメリット、施工手順、技術的な特徴について詳しく解説します。

「埋め戻し工法」のメリット

  • 初期費用が比較的安価
    砕石などの材料費が比較的低く、施工もシンプルであるため、コストを抑えられます。
  • 維持管理費が安価
    コンクリートやアスファルト舗装により、長期間の使用に耐えられます。鋼製平面化工法で必要となる床板の再塗装や防錆処理のコストが不要です。ただし、アスファルト舗装は、約10年程度で劣化するため将来の再舗装が必要です。
  • 排水設備が不要
    地下ピット内の既存の排水ポンプは撤去となるため、排水ポンプのメンテナンス費用が不要となります。
  • 荷重制限がない
    鋼製平面化工法では設計上の耐荷重制限がありますが、埋め戻し工法では特に制限はありません。

「埋め戻し工法」のデメリット

  • 荷重増加によるリスク
    大量の砕石や土砂を地下ピットに投入するため、地盤が弱い地域や隣接構造物がある場合、周辺地盤の沈下や建物基礎のクラック等を引き起こす可能性があります。特にマンション建物に隣接するピットや建物地下の機械式駐車場では、埋め戻し荷重が設計荷重を超え建物に負担をかける恐れがあります。
  • 地下水位変動によるリスク
    地下水位の変動によるピット躯体の浮き上がりや沈下リスクがあります。特に周辺土壌に水が溜まりやすい場合、埋め戻したピットが浮力で持ち上がって舗装面が隆起したり、逆に沈下して陥没する恐れがあります。
  • 将来的な機械式駐車場の再建が困難
    一度埋め戻すと、再度機械式駐車場を設置するためには大規模な掘削が必要となり、現実的には不可能となります。
  • 鋼製平面化と比較して工期が長い
    埋め戻し工法は施工期間が長くなります。アスファルト仕上げの場合は養生期間が短いので、コンクリート仕上げよりは工期が短縮されますが、鋼製平面化工法と比較すると時間がかかります。

施工手順

以下の手順は一例です。

機械式駐車場の解体撤去

  1. 準備作業
    現場に仮設足場を組み、安全措置を講じます。また、機械式駐車装置の電源を遮断します。
  2. 解体撤去
    重機や手作業で機械式駐車場装置を上部から順次解体します。錆びたボルトは緩めたりガスバーナーで切断し、重量物はクレーンで吊り降ろします。解体した部材はすべて搬出・処分します。
  3. ピット清掃
    解体後、地下ピット内を高圧洗浄し長年蓄積した汚れや油分を可能な限り除去します。ピット深さは数メートルに及ぶため、作業終了時にはフェンスで開口部を塞ぎ安全を確保します。

「埋め戻し工法」による平面化

  1. 排水設備の撤去
    ピット内に設置されていた排水ポンプなどの排水設備を取り外し、搬出します。
  2. ピットの処理と埋め戻し
    通常は、地下ピット躯体(コンクリートの壁や底盤)は残したまま、その空間を砕石(再生砕石など)で埋め戻します。必要に応じてピット底や側面に穴を開け、地下水や雨水が溜まらないよう排水対策を講じます。
  3. 仕上げ舗装
    埋め戻し後、地表を周辺地盤と同じ高さに整地し、アスファルト舗装またはコンクリート打設で平らに仕上げます。

「埋め戻し工法」技術的な特長

埋め戻し材

一般的には砕石や再生砕石を使用します。再生砕石とは解体コンクリートなどを再利用した砕石で、環境に配慮しつつ安価に調達できる材料です。砕石は十分に転圧(締固め)しながら層状に投入され、将来的な沈下を防ぐよう施工されます。地盤が弱い場合や荷重を抑えたい場合、軽石など軽量骨材を用いることもあります。

耐久性

路面仕上げの材質によって耐久性が異なります。アスファルト舗装は約10年前後で劣化が見られ、ひび割れ補修や表面の再舗装が定期的に必要になります。一方、コンクリート舗装は耐荷重性・耐久性が高く、頻繁な補修なしに長期間利用できる傾向があります。ただし、いずれの場合も地盤や地下水位の変動に対して無影響とはいえないため、施工時に十分な地盤調査と設計検討が必要です。

排水対策

機械式駐車場の地下ピット部分はコンクリート製の「箱」構造になっていることが多いため、埋め戻し後に雨水や地下水が溜まらないよう配慮が必要です。ピット躯体を残したまま埋め戻す場合は、施工前に周辺土壌の水位を調査し、必要に応じてピット底板や側壁に穴を開けて水抜き経路を確保します。これにより地下水の浮力でピット構造体が浮き上がったり、路面を押し上げる現象を防ぐ対策とします。また埋め戻し後の路面には適切な勾配を付け、側溝や排水桝へ雨水が流れるよう仕上げます。

工期

工期は施工現場への大型トラックによる砕石の搬入経路が確保されているか、また、ピットの深さによって大きな差が出ます。地下部分が2段式のような深いピットの場合には埋め戻し材の量が多いため、工期は長くなります。また、コンクリート仕上げとする場合はコンクリートの養生期間が必要なため、アスファルトより工期は長くなります。

今回のポイント


埋め戻し工法は、機械式駐車場の解体後にコストを抑えて平面化できる現実的な選択肢です。荷重制限がなく、排水設備の撤去によって維持費も軽減される一方で、地盤への影響や再設置の困難さ、工期の長さなどの注意点もあります。特に都市部や地盤が弱いエリアでは慎重な判断が必要です。将来的に機械式駐車場の再設置の可能性がなく、比較的広く安定した敷地であれば、有力な平面化方法のひとつとして検討する価値があります。

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